信濃川・浜名湖国際病理セミナーでとりあげて欲しいテーマ糖尿病について思う

生活習慣病として定着してしまった感のある糖尿病。
その原因はあきらかに食生活の贅沢化にあるが、その深刻度は地域によってバラつきがある。

顕著なのが都道府県別の糖尿病による死亡率だ。政令市のある都道府県では低く、そのほかの県では高いという特徴がみえてくる。

常識的に考えれば地方こそ糖尿病とは無縁であり、都会のほうがリスクが高いはずが、実際は逆なのだ。

2015年の厚労省のデータによると、糖尿病による死亡率の全国平均は人口10万人当たり10.6人。最も死亡率の低いベスト1位は神奈川県の7.2人。2位が愛知県の7.7人。3位が滋賀県の8.1人。4位が岐阜県、千葉県の8.6人。5位が宮城県の8.8人、6位に東京都が8.9人でランクインしている。

他にも全国平均を下回る県には、埼玉県、京都府、大阪府などがあり、都市圏が目立つ。

一方、最も死亡率の高いワースト1位は青森県の18.2人。2位が秋田県の16.3人。3位が香川県の16.1人。4位が鹿児島県の15人。5位が徳島県の14.9人となっている。

この差は一つには、地域に根差した生活習慣によるものだといえる。
たとえばワースト上位の徳島県は、車保有数が全国平均より多く運動不足、甘いものが好き(ごはんに砂糖をかけて食べる、酢飯の砂糖が多めなど)といった特徴があり、同じくワーストの香川県では、うどん好きの県民性が小麦粉の多量摂取につながっているという指摘がある。

食文化を変えるのはなかなか大変だが、伝統的に塩分摂取量が高く成人病の多い長野県では、官民挙げての塩分抑制キャンペーンに取り組み、味噌汁の塩分チェックなど地道な活動を続けた結果、現在では全国一の長寿県となっている。

生活習慣病を予防するには早期からの啓発が重要であり、その点で成功しているのがベスト1位の神奈川県の取り組みであろう。

糖尿病予備軍の人に対し早くから生活習慣の改善を指導したり、糖尿病連携手帳を配布して複数の医療機関を受診する際に役立つようサポート体制を整えている。

しかしワースト1位の青森県では、重症化してはじめて生活習慣の改善や情報収集に取り組む人の割合が高い。

また、せっかく治療を始めても金銭面の理由から途中で治療中断を申し出る患者が県全体の病院の40%に達し、受診回数を減らすことを希望したり、薬が切れているのに受診しに来ない患者は全体の70%にも上る。

これは医療費負担そのものを低減しない限り解決しない。背景に地域による経済格差が潜んでいるからだ。

世界的にみても、もはや糖尿病は貧困とは切り離せない問題となっている。
中・低所得の国では、先進国から安価なインスタント・加工食品が大量に流れこんできた結果、国民は肥満による生活習慣病にあえいでいる。

いまや糖尿病の原因は贅沢にあるのではなく、貧困にこそ生じるようになったのだ。
このような話題もこのセミナーでとりあげて欲しいと思うものである。